この本には『怒る』ことが何なのか、『怒る』ことが何をもたらすのか、『怒らない』ことが何をもたらすのか、
どうしたら『怒らない』でいられるかが、具体的に書いてあります。
怒りのマネジメントを学び取ることができます。本当は大事なところは全部なんですが、個人的にツボった前半一部を引用させていただきます。
■誰も彼もが『怒りたい』
皆さんは実のところ、「私は怒りたい放題、思う存分、勝手に怒ります。でも、怒ってはいけないから、何かいい方法を教えてください」と思っているのです。誰も彼もが、怒りたくて怒りたくて仕方がない。けれど心のどこかで「怒らない方がいいのでは」と思ってたりもしている。自分の気持にこうした矛盾があるのですが、そのことに気づいていない。それで「私は怒りたくない」などと嘘をつく羽目になるのです。
アルボムッレ・スマナサーラ『怒らないこと』14頁(株式会社サンガ、第6刷、2008年)
*読み始めからいきなりですが、怒りは理性から離れた本能の部分に近いんでしょうか。
誰もが怒りたいのだと考えると気持ちが楽になりますね。
■『私は正しい』と思うから怒る
人間というのは、いつでも『私は正しい。相手は間違っている』と思っています。それで怒るのです。『相手が正しい』と思ったら、怒ることはありません。
アルボムッレ・スマナサーラ『怒らないこと』32頁(株式会社サンガ、第6刷、2008年)
これ、当たり前ですが、気づかないポイントですよね。
■くだらない妄想観念が怒りをつくる
『ののしられた』というのも、『いじめられた』というのも、『負かされた』というのも、『盗まれた』というのも、ぜんぶくだらない。このくだらない妄想観念を反芻してふくらませて不幸の塊になるのは、最悪です。だからたとえわずかでも、我々の頭の中にこうしたくだらない妄想概念をつくらないようにすることです。それが怒らない秘訣です。
アルボムッレ・スマナサーラ『怒らないこと』52頁(株式会社サンガ、第6刷、2008年)
こういうルサンチマンに浸ってはいけないとバッサリです。
■怒りは自分を焼き尽くす『火』
自分のからだに火をつけたら、触れるものすべてに火をつけて破壊することができます。でも、その前に何が起きますか?まず自分が燃えているのです。このことからわかるように、怒りには何かを破壊する力がありますが、なによりも先に破壊されてしまうのは自分なのです。
アルボムッレ・スマナサーラ『怒らないこと』75頁(株式会社サンガ、第6刷、2008年)
まさしくその通りで、怒った後はお互いに後味悪いですなぁ。
*怒りを治める方法、それを持続させる方法、怒らずにはいられない人とのつきあい方、怒らないことが周囲に与える影響などの実践方法は、本書4章(p.137~)からかなり具体的に書かれています。それほど厚くない本なので何度か読み返すもいいですし、頭にきたことがあった後、読むのも悪くないですね。
怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書) (サンガ新書)
*突然ですが、コードギアスR2がもうすぐ終わってしまいます。中途半端に見ていたので、だんだんストーリーについて行けなくなってきてしまいました。私はこの本を読んでから、『怒らないこと』を実践することは、誰でも持つことのできる”ギアス”みたいなものだと感じました。ギアスを手に入れたい方は是非一読されることをおすすめします。
*2008.9/20追記:本文を一部修正しました。